むし歯治療
むし歯とは
口の中には1,000億個以上の細菌が存在するといわれています。その中の主なむし歯菌はミュータンス菌と呼ばれ、これらのむし歯菌は食物を栄養として生きています。そして、食物の中の糖質を分解してプラークを形成し、プラークの中に他の細菌が増殖することで酸が産生されます。
この酸が歯質を溶かすことを脱灰とよびます。これに対し、脱灰によって溶けた部分が唾液の作用により回復することを再石灰化とよび、飲食をすることで脱灰と再石灰化が繰り返し行われます。しかし、このバランスが崩れ脱灰の時間が長くなるとむし歯になってしまうのです。
むし歯の段階
C0
歯の表面のエナメル質がほんの少し溶け、白濁した状態で痛みなどの症状はありません。プラークを丁寧に除去することや、フッ素を効果的に使用することで再石灰化が促進され、元の状態に戻すことも可能です。
C1
エナメル質に穴が開いた状態ですが、痛みなどの自覚症状はほとんどないため気が付かないこともあります。また、一度穴が開いてしまうと元の状態にもどることはありません。
C2
エナメル質の奥に存在する象牙質までむし歯が進行した状態で、甘いものや冷たいものがしみることがあります。また、象牙質は柔らかいのでC1までの状態よりもむし歯の進行が加速します。
C3
歯の神経の近くまでむし歯が進行した状態で、非常に強い痛みを伴います。痛みを放置すると生きていた神経が死んでしまうため痛みが治まることもあります。
C4
歯全体にむし歯が波及し、神経も死んでいるため痛みはありません。残っている歯や根っこの状態にもよりますが、抜歯の対象となることもあります。
むし歯の治療法
むし歯により歯に穴が開いてしまうと、いくら再石灰化を促しても元に戻ることはありません。 まずはしっかりと歯磨きや予防を行うことでむし歯にしないことが大切です。また、早期発見により適切な処置を行うことが重要です。
1.むし歯予防
お家でできるむし歯予防
家では歯磨きをしっかりと行うことが一番のむし歯予防です。どんなにフッ素の入った歯磨き粉を使用してもプラークが除去できていなければ、効果は得られません。歯と歯の間、歯と歯茎の境目、奥歯の噛む面の溝はむし歯になりやすい部分なので、特に丁寧に磨き、歯と歯の間はデンタルフロスなどを活用するとよいでしょう。
歯科医院で行うむし歯予防
歯科医院では濃度の高いフッ素を使用したり、むし歯になりやすい部分の予防処置を行います。
フッ素 | 最近ではほとんどの歯磨き粉に含まれるようになりましたが、フッ素濃度が低いものもあります。歯科医院ではより濃度の濃いフッ化物を適切に使用することで再石灰化を促しむし歯の予防をします。 |
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シーラント | むし歯になりやすい部位の一つである奥歯の溝を、レジン系の材料を充填しむし歯の発生を予防します。特に、6歳臼歯などの生えたての歯は形が複雑で、歯質も弱くむし歯になりやすいため頻繁に使用されます。 |
2.むし歯治療
コンポジットレジン修復法
むし歯になってしまった部分を削りとり、白いレジン系の材料で充填します。保険が適用されるので、比較的安い値段で治療できます。
適用部位については歯科医院の方針などによっても変わってきますが、大きなむし歯や隣接面を含むもの、奥歯の力がかかる部分は割れてしまうことがあるのであまり使われません。
インレー修復法
神経を取るほどの大きさのむし歯ではないものの、コンポジットレジンでは修復困難な形態や奥歯の噛む面の場合はインレー修復法が適応されます。
メタルインレーと呼ばれる部分的な銀の詰め物は保険適用となります。銀歯の見た目が気になる場合は、セラミックスインレーによる歯と同じ色の詰め物でのインレー修復も可能です。
クラウン修復法
むし歯の進行が大きく神経を取る治療が必要な場合は、根っこの治療後歯の上に土台を立て、その上から被せ物(クラウン)をセットします。
奥歯の場合は保険適応のものだと銀歯となります。見た目が気になる場合は自費治療によりオールセラミックスでの治療も可能です。
むし歯に罹らないことがなによりも大切
一度むし歯にしてしまった歯は二度と戻ることはありません。
日頃からのプラークコントロールを心がけることや、歯科医院で定期健診を受けることで、お金も時間もかけず治療を終えることができます。
また、歯を失う二大疾患はむし歯と歯周病と言われています。いつまでも自分の歯で食事ができるよう、今から心がけていきましょう。