リップアートメイクとは?基本知識と効果
リップアートメイクは、専用マシンを使って唇に色素を入れる施術です。通常のリップメイクとは異なり、マスクや食事で色が落ちる心配がなく、すっぴんでも美しい唇の色と形を保てるのが最大の魅力です。
唇の色がくすんでいると、お顔全体の印象が暗く見えてしまいます。リップアートメイクを受けることで、血色感のある唇を手に入れ、顔全体が明るく健康的な印象になるのです。
施術は通常2回以上行うことで色素が定着します。1回だけでは色持ちが悪くなる可能性があるため、多くのクリニックでは2回セットのコースを提供しています。持続期間は個人差がありますが、約2〜3年程度と言われています。
リップアートメイクの効果は単に色をつけるだけではありません。唇の輪郭をはっきりさせたり、左右対称に整えたり、唇の厚みを強調したりすることも可能です。また、唇の色素沈着やくすみを隠す効果もあります。
ただし、施術後には一時的な腫れや赤みなどのダウンタイムがあり、完全に回復するまでには数日程度かかります。また、効果が長続きするからこそ、色やデザインの選択は慎重に行う必要があります。
リップアートメイクで後悔しないための9の選び方
リップアートメイクは効果が長く続くため、失敗すると後悔する期間も長くなります。ここでは、後悔しないための10の選び方をご紹介します。
1. 自分の肌トーンに合った色を選ぶ
リップカラーを選ぶ際、最も重要なのは自分の肌トーンに合った色を選ぶことです。肌のトーンは大きく分けて、イエローベース(黄みがかった肌色)とブルーベース(ピンクみのある肌色)の2種類に分かれます。
イエローベースの方には、オレンジやコーラルなど暖かみのある色が似合います。一方、ブルーベースの方には、ローズやベリー系の涼しげな色が調和します。自分の肌トーンを知るには、手首の血管の色を確認する「ベインテスト」なども有効です。
青みがかった血管が見える方はブルーベース、緑みがかった血管が見える方はイエローベースと判断できます。自分に合った色を選ぶことで、顔色が明るく見え、全体のバランスが良くなります。
2. 普段のメイクスタイルを考慮する
日常的にどのようなメイクをしているかを考慮することも大切です。普段からナチュラルメイクが多い方が濃いリップカラーを選ぶと、違和感が生じる可能性があります。反対に、いつもしっかりメイクをする方が薄すぎる色を選ぶと物足りなさを感じるかもしれません。
自分のライフスタイルや好みに合わせて、長く付き合える色を選びましょう。流行に左右されない、自分の「定番カラー」を見つけることが重要です。
3. 施術者の技術力と実績を確認する
リップアートメイクの仕上がりを左右する最も重要な要素の一つが、施術者の技術力です。経験豊富な施術者は、唇の形や表情のクセを見極め、最適なデザインを提案してくれます。
クリニック選びの際は、必ず施術者の実績や症例写真をチェックしましょう。特に自分の理想に近い仕上がりの症例があるかどうかを確認することが重要です。また、リップアートメイク専門の資格や認定を持っているかどうかも確認するとよいでしょう。
技術力の高い施術者は、左右対称のデザインや自然な色の入れ方など、細部にまでこだわった施術を行ってくれます。「安さ」だけで選ばず、技術力を重視しましょう。
4. 医療機関での施術を選ぶ
リップアートメイクは皮膚に針を刺して色素を入れる施術であるため、医療行為に分類されます。そのため、医師のいる医療機関で受けることが安全面で重要です。
違法な無資格サロンでの施術は、感染症のリスクや予期せぬトラブルの原因となる可能性があります。必ず医療機関で、歯科医師の管理下で施術を受けるようにしましょう。
医療機関では、施術前に歯科医師、歯科衛生士による診察があり、あなたの体質や健康状態に問題がないか確認してくれます。また、万が一トラブルが発生した場合も、適切な医療対応が受けられる安心感があります。
5. カウンセリングを重視する
良質なリップアートメイクを受けるためには、施術前のカウンセリングが非常に重要です。丁寧なカウンセリングを行うクリニックでは、あなたの希望や不安をしっかりと聞いた上で、最適なデザインや色を提案してくれます。
カウンセリング時には、自分の希望をできるだけ具体的に伝えましょう。写真や雑誌の切り抜きなどを持参すると、イメージが伝わりやすくなります。また、不安なことや疑問点は遠慮せずに質問することが大切です。
施術者とのコミュニケーションがしっかりとれているかどうかも、満足度を左右する重要なポイントです。「この人に任せても大丈夫」と思える施術者を選びましょう。
6. 自然な仕上がりを重視する
リップアートメイクでは、派手すぎる色や極端なオーバーリップは避けるのが無難です。自然な血色感を出す程度の色味を選ぶことで、長く愛用できるアートメイク色 に仕上がります。
特に初めてリップアートメイクを受ける方は、自然な仕上がりを目指すことをおすすめします。慣れてきてから、少しずつ色を濃くしていくこともできます。
また、唇の形を大きく変えるオーバーリップは、不自然に見えることがあります。唇の自然なラインを活かしながら、少しだけ強調する程度が理想的です。
7. 2回以上の施術が理想的
リップアートメイクは1回だけでは色素が十分に定着しないことが多いため、2回以上の施術を前提としたプランを選びましょう。多くのクリニックでは、初回施術から1〜3ヶ月後に2回目の施術を行います。
1回目の施術で色の入り方や定着具合を確認し、2回目で色味の調整や足りない部分の補強を行うことで、理想的な仕上がりに近づけることができます。
料金プランを比較する際は、1回あたりの料金ではなく、2回セットの総額で比較することが大切です。また、追加施術が必要になった場合の料金体系も確認しておきましょう。
8. アフターケアが充実しているクリニックを選ぶ
リップアートメイク後のケアは、仕上がりの美しさや持続性に大きく影響します。アフターケアが充実しているクリニックを選ぶことで、万が一のトラブルにも迅速に対応してもらえます。
施術後のケア方法をしっかり説明してくれるか、質問や不安があった時に相談しやすい環境があるか、施術後のフォローアップが充実しているかなどをチェックしましょう。
特に施術後数日程度は、腫れや赤み、かさぶたなどのダウンタイムがあります。この期間中のケア方法を詳しく説明してくれるクリニックを選ぶことが重要です。
9. 価格だけで判断しない
リップアートメイクの料金相場は、2回セットで14万円〜19万円程度です。あまりに安価な施術は、使用する色素の質や施術者の技術に問題がある可能性があります。
価格だけで判断せず、使用する色素の品質や施術者の技術力、アフターケアの充実度なども含めて総合的に判断しましょう。長期間にわたって効果が続く施術だからこそ、多少高くても安全で満足度の高い施術を受けることをおすすめします。
また、キャンペーン価格で施術を受ける場合も、通常価格との差があまりに大きい場合は注意が必要です。「安かろう悪かろう」にならないよう、慎重に選びましょう。
リップアートメイクの失敗例と対処法
リップアートメイクで後悔する主な理由には、どのようなものがあるのでしょうか。実際の失敗例と、その対処法について見ていきましょう。
色選びの失敗と対処法
最も多い失敗例は、色選びの失敗です。「思っていたより濃すぎた」「すっぴんの時に浮いて見える」「時間が経つと変色した」などの後悔が多く聞かれます。
色選びで失敗しないためには、まず自分の肌トーンを正確に把握することが重要です。また、施術前にリップペンシルなどで実際の色味を確認するのも効果的です。
もし色が濃すぎると感じた場合は、1回目の施術後に2回目で調整することも可能です。また、時間の経過とともに色は薄くなっていくので、最初は少し濃く感じても徐々に馴染んでいくことも覚えておきましょう。
デザインの失敗と対処法
デザインに関する失敗例としては、「左右非対称になった」「オーバーリップが不自然」「唇の形が希望と違った」などがあります。
デザインの失敗を防ぐには、施術前のカウンセリングでしっかりとイメージを共有することが大切です。また、施術者が描いた下絵をよく確認し、納得がいかない部分は遠慮なく伝えましょう。
もしデザインに不満がある場合は、2回目の施術で修正することも可能です。ただし、大幅な変更は難しいため、初回の施術前にしっかりと希望を伝えることが重要です。
施術後のトラブルと対処法
施術後に起こりうるトラブルとしては、「色ムラができた」「かさぶたが取れた後に色が抜けた」「ヘルペス症状が出た」などがあります。
施術後のトラブルを防ぐためには、クリニックの指示に従ったアフターケアが重要です。特に施術後数日程度は、唇を清潔に保ち、指示された保湿剤を使用するなど、丁寧なケアが必要です。
もし施術後に異常を感じた場合は、すぐにクリニックに相談しましょう。早めの対応が症状の悪化を防ぎます。特に痛みや腫れが強い場合、感染症の可能性もあるため、すぐに歯科医師、歯科衛生士の診察を受けることが大切です。
リップアートメイクのダウンタイムと注意点
リップアートメイクを受ける際には、ダウンタイムについても理解しておくことが重要です。施術後にはどのような変化があり、どのようなケアが必要なのでしょうか。
施術直後から1週間の変化
リップアートメイク施術直後は、唇の腫れや赤みが出ることがあります。また、色も実際の仕上がりより20〜30%程度濃く見えることが一般的です。
施術後2〜3日目になると、唇にかさぶたが形成されます。この時期は唇が乾燥しやすく、つっぱり感を感じることもあります。かさぶたは自然に剥がれ落ちるのを待つことが重要で、無理に剥がすと色素が一緒に取れてしまう可能性があります。
かさぶたが取れた後は、一時的に色が薄く見えることがありますが、これは正常な過程です。約2週間程度で色が安定し、本来の仕上がりが見えてきます。
施術後のケア方法
施術後のケアは、美しい仕上がりを保つために非常に重要です。まず、施術当日は唇を清潔に保ち、指示された保湿剤を定期的に塗ることが大切です。
施術後48時間は、飲酒や激しい運動、サウナやホットヨガなど、体温が上昇する行為は避けましょう。また、プール、温泉、海水浴なども避ける必要があります。
かさぶたが形成されている間は、絶対に剥がさないようにしましょう。また、辛い食べ物や熱い飲み物も避けた方が良いでしょう。リップメイクは、かさぶたが完全に取れるまで控えることをおすすめします。
施術を受けられない方
リップアートメイクは誰でも受けられるわけではありません。以下のような方は、施術を受けられない場合があります。
妊娠中・授乳中の方、重度の金属アレルギーがある方、唇にヘルペスや炎症がある方、血液凝固障害がある方、糖尿病などの持病がある方は、施術を受けられないことがあります。また、抗凝固薬を服用している方も注意が必要です。
不安がある場合は、事前のカウンセリングで必ず医師に相談しましょう。また、持病がある方は、かかりつけ医に相談した上で施術を検討することをおすすめします。
リップアートメイクの長期的な経過と維持方法
リップアートメイクは、施術後どのように色が変化していくのでしょうか。また、美しい状態を長く保つためにはどのようなケアが必要なのでしょうか。
色の変化と持続期間
リップアートメイクの色は、時間の経過とともに徐々に薄くなっていきます。一般的な持続期間は3〜4年程度ですが、個人の代謝や生活習慣によって大きく異なります。
施術後3年〜4年程度で、少しずつ色が薄くなり始めることが多いです。特に唇は粘膜に近い部位であるため、眉やアイラインのアートメイクと比べて色が抜けるのが早い傾向があります。
また、紫外線の影響で色が変化することもあります。特に赤みの強い色素は、時間の経過とともに青や紫に変色する可能性があるため、日常的な紫外線対策が重要です。
美しさを長持ちさせるためのケア
リップアートメイクの美しさを長持ちさせるためには、日常的なケアが欠かせません。まず、唇の保湿を心がけましょう。乾燥すると色素の剥離が早まるため、リップクリームなどで常に潤いを与えることが大切です。
また、紫外線対策も重要です。UVカット効果のあるリップクリームを使用したり、日焼け止めを塗ったりすることで、色の変化を防ぐことができます。
喫煙や過度の飲酒は、血行を悪くし、色素の定着に悪影響を与えることがあります。また、ピーリングやスクラブなど、唇の角質を除去するケアも控えた方が良いでしょう。
リタッチのタイミングと方法
リップアートメイクの色が薄くなってきたと感じたら、リタッチ(メンテナンス)を検討する時期です。一般的には、施術後2〜3年程度でリタッチを行うことが多いです。
リタッチは、完全に色が消えてしまう前に行うのがおすすめです。色が残っている状態でリタッチすることで、より自然な仕上がりになります。
リタッチの際には、前回の施術内容を確認し、色味やデザインの微調整を行うことも可能です。ライフスタイルや好みの変化に合わせて、少しずつ変化させていくこともできます。
まとめ:理想のリップアートメイクを手に入れるために
リップアートメイクは、日々のメイク時間を短縮し、常に美しい唇を保つことができる魅力的な施術です。しかし、効果が長続きするからこそ、失敗しないための選び方が重要になります。
自分の肌トーンに合った色を選び、信頼できる医療機関で施術を受けることが、満足度の高いリップアートメイクの鍵となります。また、施術前のカウンセリングでしっかりとイメージを共有し、施術後は適切なケアを行うことで、美しい状態を長く保つことができます。
リップアートメイクは一度の決断で長期間影響するものです。焦らず慎重に、自分に最適なクリニックと施術者を選びましょう。そして、自分らしい美しさを引き出す、理想のリップアートメイクを手に入れてください。
美しい唇は、顔全体の印象を明るく、若々しく見せる効果があります。リップアートメイクで理想の唇を手に入れ、毎日の生活がより輝くものになることを願っています。
医師プロフィール

阿部 洋太郎
日本大学松戸歯学部を卒業後、歯科保存学入局
千葉県の歯科医院、都内の歯科医院にて勤務
松島歯科・新橋インプラントオフィスにて副院長およびインプラントオフィス所長を兼務
日本大学大学院松戸歯学研究科を卒業
(インプラントと口腔粘膜病変の研究、コラーゲンとエラスチンの研究、カンジダと癌の研究)
審美歯科、ラミネートベニアを専門的に行っており、日本各地や海外からのご来院にも対応している
詳しい経歴や医師の想いについては、医師の紹介ページをご覧ください。