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COLUMN

インプラントの歴史(近代)

インプラント治療の開発や歴史についてです。

1913年にはグリーンフィールドが円筒型のインプラントを開発しました。
これが近代インプラントの始まりとされます。
1930年代にはスクリュー型インプラントが、1940年代には螺旋型のインプラントが考案されました。

その後インプラント治療が進化が始まったとされるのが、1952年にスウェーデン研究を行っていた↑ブローネマルク教授がチタンと骨とが結合すること(オッセオインテグレーション)を発見した研究です。
その後、動物実験を経て1962年から人に対してのインプラント治療が行われました。
このブロ-ネマルク教授には、私も以前に来日講演会の際にお会いすることができました。
「インプラント治療の安全な普及を願っている。」とおっしゃっていました。

1978年には、デンタルインプラントのコンセンサス会議が、ハーバード大学とアメリカ国立衛生研究所の共催で開催されました。
この会議はデンタルインプラントのデータ収集と分析の評価基準と標準が確立された象徴的な会議であったと評価されています。

1982年にはカナダでトロント会議が行われ、そこで長期予後の症例などが報告さました。これによりインプラント治療が普及したと言われています。
今でもこのトロント会議の内容は、インプラント治療を語る上で良く取り上げられます。

インプラントの形態には、左←のブレードタイプと呼ばれる板状のものと、右→のルートフォームと呼ばれる歯根の形のタイプがあります。(ルート=歯根)
ブレードタイプのインプラントは現在はもう使われていないと思います。
私もブレードタイプインプラントのメンテナンスや撤去を行った経験はありますが、埋入したことはありません。
現在は、ルートフォームが主流になっています。

ルートフォームタイプ(歯根の形)は当初はシリンダータイプと呼ばれる平らな表面でしたが、ネジ型の方が埋入時の安定性に有利とされていて、現在のインプラントはネジ山型の形態になっているものが多いです。
ネジ型になったことで、インプラントの埋入がスムーズになり、手術中の患者様の苦痛も軽減したと思います。

また、骨との結合を早期かつ強固にするため、インプラント表面にHA(ハイドロキシアパタイト)をコーティングしたタイプも開発されています。
HAタイプ は骨形成において骨誘導能(バイオインテグレーション)が期待できると言われています。
最近ではさらに進化していますが、このHAコーティングタイプも利点も欠点もあるのではないかとされています。
私もHAタイプとHAでないタイプとの両方のタイプの経験がありますが、HAではない方を用いることが多いでしょうか。

また1991年には、インプラント表面がツルツルの機械研磨よりも、強酸で表面処理をした方が骨との結合がより強くなるという論文が発表されました。
それ以降には各社が表面性状処理を開発し、インプラント表面にブラスト処理や強酸処理を行いラフサーフェス(表面に骨が結合しやすい微小粗雑構造)にしています。
ストローマンインプラント(ITIインプラント)はこの表面性状の良さが人気で、使っている歯科医師も多いようです。
私自身もストローマンインプラント(ITIインプラント)を用いた症例は非常に多いです。

2005年には、白色系の材料としてジルコニアのアバットメント(インプラントと上部構造との連結部)が日本国内で薬事法の認可を受けました。
このジルコニア材料は、インプラント治療を審美的に進化させました。
私自身もかなりの数を使っていますが、審美的で優秀な材料です。

また、日本ではまだ認可されていませんが、表面をフッ素コーティングをする事により骨の治癒が有利になる方法も開発されています。
このほかにも、光機能化やAll on 4など、インプラント治療の新しい開発は続けられています。

歯科医療は常に進化しています。
お口や歯のお悩みがある方は、ぜひ歯科医院にご相談下さい。
我々歯科医師がきっと力になります。

医師プロフィール

阿部 洋太郎

日本大学松戸歯学部を卒業後、歯科保存学入局
千葉県の歯科医院、都内の歯科医院にて勤務
松島歯科・新橋インプラントオフィスにて副院長およびインプラントオフィス所長を兼務
日本大学大学院松戸歯学研究科を卒業
(インプラントと口腔粘膜病変の研究、コラーゲンとエラスチンの研究、カンジダと癌の研究)

審美歯科、ラミネートベニアを専門的に行っており、日本各地や海外からのご来院にも対応している

詳しい経歴や医師の想いについては、医師の紹介ページをご覧ください。