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削らないラミネートベニアとは?特徴と審美歯科治療の最新情報

削らないラミネートベニアとは?基本的な特徴と仕組み

削らないラミネートベニアは、天然歯を削ることなく審美的な治療を行うことができる革新的な方法です。前歯の形や色が気になる方のために、薄いセラミック(人工歯)を歯の表面に貼り付けて美しい歯に仕上げます。爪に付けるネイルチップのようなイメージで、歯の表面に接着させる治療法です。

従来のラミネートベニアでは、歯のエナメル質を0.5~1mm程度削る必要がありましたが、削らないラミネートベニアは天然歯を削らずに施術できるため、痛みもなく天然歯を傷めることがありません。

近年では、セラミックの材質の強度が上がり、接着剤の能力も改善されており、有効な治療法として定着しています。削らないラミネートベニアの厚みは0.05mm~0.5mm程度と非常に薄く、コピー用紙やポストカードの厚み程度です。

削らないラミネートベニアの主なメリット

削らないラミネートベニアには、従来の審美歯科治療と比較して多くのメリットがあります。特に「健康を犠牲にしないような審美歯科治療」を求める方に適しています。

最大の魅力は、歯に与えるダメージが少なく痛みもないという点です。天然歯を削らないため麻酔も不要で、健康な歯を残したまま見た目を良くすることができます。

治療期間が短いのも大きな利点です。歯列等に問題がない場合、即日型取りを進めることができるので、最短2回の処置で治療が終了します。歯を削る必要がないため、仮歯を装着する必要もありません。

歯の凸凹や隙間にも対応できるのも特徴です。歯の色を整えるだけでなく、歯の表面のでこぼこや、前歯の気になる隙間を治すことができます。ただし、あまりにも歯列に問題がある場合には対応できないこともあります。

さらに、ホワイトニングでは好みの白さを実現するまでに数回かかることがありますが、削らないラミネートベニアでは希望の白さに一度でできます。シェードガイドを参考に、輝くような白さも、自然な白さも、艶感や透明感も自由自在に選ぶことが可能です。

元の状態に戻せるという点も重要です。通常、歯を切削すると完全に元の通りにすることはできませんが、歯を削らないラミネートベニアであれば、シェルを外せば元の状態に戻すことが可能です。

削らないラミネートベニアが向いている症例

削らないラミネートベニアは様々な歯の悩みに対応できますが、特に以下のような方に適しています。

歯の色や形に関する悩み

歯の色が気になる方には特に効果的です。テトラサイクリン歯やホワイトニングができない方でも、比較的簡単に歯を白く美しくすることができます。また、先天的な遺伝による変色や薬物による歯の変色が気になる方にも適しています。

歯の形が悪い、周りの歯と比べて小さい歯や、一部分が欠けてしまって形を整えたい方にも効果的です。歯の大きさが不揃いで見栄えが悪いといった場合も、希望に合わせた歯の形に変え、見た目を整えることができます。

歯並びの軽度な問題

前歯と前歯の間に隙間がある、いわゆる「すきっ歯」のお悩みにも対応できます。貼り付ける人工歯により歯を少し大きくすることで隙間をなくしていきます。

歯間離開や捻転歯など、軽度の歯列不正の修正にも適しています。矯正治療後の歯の形や並びの微調整を短期間で行いたい方にもおすすめです。

特別なイベントや急ぎの治療が必要な場合

結婚式や就職活動などのイベントを控えて治療期限がある方にも適しています。短期間で美しい歯を手に入れたい方や、従来のラミネートベニア治療を行う前にシミュレートしてみたい方にもおすすめです。

歯肉退縮(歯茎痩せ)による根元の隙間が目立つ(ブラックトライアングル)場合にも効果的です。

削らないラミネートベニアの施術方法と流れ

削らないラミネートベニアの施術は、比較的シンプルで短期間で完了します。一般的な施術の流れは以下のとおりです。

初回診察とカウンセリング

まず初回の診察では、歯の状態を確認し、削らないラミネートベニアが適しているかどうかを判断します。歯並びや噛み合わせに大きな問題がある場合は、他の治療法が提案されることもあります。

患者さんの希望する歯の色や形、大きさなどについて詳しくカウンセリングを行います。シェードガイドを使って希望の白さを選ぶこともできます。

歯型採取と設計

治療を進める場合は、その場で歯型を採取します。採取した歯型をもとに、患者さんの希望に合わせた色調や形状を再現したシェル(ベニア)を歯科技工士に依頼し製作します。

最新のデジタル技術を活用したクリニックでは、3Dスキャナーで口腔内をスキャンし、より精密な設計が可能になっています。2025年現在では、AI技術と3Dプリントの導入により、より精密で個々に最適化された治療が可能となっています。

シェルの装着

シェルが完成したら、次回の来院時に装着します。歯の表面を特殊な薬剤で処理し、強力な接着剤でシェルを貼り付けます。歯を削らないため、麻酔は不要です。

装着後は、噛み合わせや見た目を確認し、必要に応じて微調整を行います。最短2回の通院で治療が完了します。

治療後は、通常の歯と同じようにブラッシングやフロスでのケアが必要です。定期的な歯科検診も重要です。

削らないラミネートベニアの注意点とデメリット

削らないラミネートベニアには多くのメリットがありますが、いくつかの注意点やデメリットも存在します。治療を検討する前に、これらを理解しておくことが重要です。

厚みと違和感について

削らないラミネートベニアは、削らないで接着するため、元の歯よりも少し厚く大きくなります。厚みは0.05mm~0.5mm程度ですが、最初は違和感を感じる方もいます。ただし、多くの場合、数日で慣れるとされています。

歯を大きくすることはできますが、歯を小さくしたり出っ歯を治したりすることはできません。そのため、すでに前に出ている歯に対しては適応が難しい場合があります。

色調と審美性の限界

セラミッククラウンに比べると色味の調整がしづらく、透明感が出しにくいという特徴があります。そのため、1本だけで治すのには向かない場合があり、6本や8本で行うことが多いです。

また、周囲の歯との色調の統一感を出すために、複数の歯を同時に治療することが推奨されることもあります。

適応症例の限界

あまりにも歯列に問題がある場合や、噛み合わせに大きな問題がある場合には、削らないラミネートベニアでは対応できないことがあります。そのような場合は、矯正治療や他の審美歯科治療が提案されることがあります。

また、強度や耐久性は、削って被せるセラミッククラウンに比べるとやや劣ります。ただし、適切なケアと定期的なメンテナンスを行うことで、長期間の使用が可能です。

削らないラミネートベニアの最新動向と技術革新

2025年現在、削らないラミネートベニアの分野では様々な技術革新が進んでいます。特にAI技術と3Dプリントの導入により、治療の精度と効率が大きく向上しています。

AI技術による精密な設計

国内では、AIを活用したクラウン自動設計システムの導入が進み、補綴物の設計がこれまで以上に精密かつ迅速に行えるようになっています。こうしたAI技術の普及により、設計時間の短縮と品質の向上が実現し、患者一人ひとりの口腔内に合わせた最適な補綴治療が可能になっています。

また、ナノイズムジャパン株式会社と東京科学大学が2025年4月から、極薄ジルコニア製ラミネートベニアの接着手法確立に関する共同研究を開始しました。この研究は、「削らず貼るだけ」という画期的なラミネートベニアの接着技術のさらなる進化を目的としています。

3Dプリント技術の活用

3Dプリント技術を用いることで、従来よりも短時間で高精度なセラミック製品の製作が可能になりました。最新の歯科用3Dプリンターでは、1本のクラウンをわずか1~2時間程度で出力でき、即日での装着も実現しています。

ナノイズムジャパン株式会社が開発した極薄ジルコニアラミネートベニア「La Briller(ラブリエ)」は、高精細3Dプリントによって製造される極薄ジルコニア製ラミネートベニアで、わずか0.04mmの超薄型構造でありながら、歯面の微細な凹凸にも高精度で密着することができ、自然な仕上がりが特長です。

素材の進化

2025年のセラミック治療では、素材の進化が目覚ましく、患者のニーズに合わせた選択が可能になっています。特にジルコニアは「人工ダイヤモンド」とも称されるほどの高い強度を持ち、審美性も高く評価されています。

また、e.max(イーマックス)は二ケイ酸リチウムを主成分とするセラミックで、自然な透明感と美しい色調が特徴です。特に前歯や小臼歯に適しており、見た目と耐久性を重視する方に人気の高い素材となっています。

削らないラミネートベニアの費用と治療期間

削らないラミネートベニアは保険適用外の自費診療となります。費用は医院によって異なりますが、一般的な価格帯と治療期間についてご紹介します。

費用の目安

削らないラミネートベニアの費用は、1本あたり9万円~18万円程度が一般的です。ただし、使用する素材や医院によって価格は大きく異なります。

実際の症例では、上前歯6本のラミネートベニア治療で約41万円(税込)、上前歯8本で約54万円~63万円(税込)という例があります。治療本数や難易度、使用する素材によって総額は変わってきます。

また、事前にホワイトニングや歯肉整形などの追加治療が必要な場合は、別途費用がかかることがあります。

治療期間

削らないラミネートベニアの治療期間は比較的短く、最短2回の来院で完了します。一般的な流れとしては、初回に歯型を採取し、2回目の来院でシェルを装着します。

実際の症例では、上前歯6本のラミネートベニア治療で3週間、上前歯8本で4週間~1.5ヶ月程度の治療期間となっています。

歯を削らないため、仮歯の装着が不要で、治療のステップが少なくなるため、従来のセラミック治療と比べて治療期間が短縮されます。

まとめ:削らないラミネートベニアで理想の笑顔を

削らないラミネートベニアは、天然歯を削らずに美しい歯を手に入れることができる革新的な審美歯科治療です。歯の色や形、軽度の歯並びの問題を改善したい方に適しており、痛みがなく短期間で治療が完了するというメリットがあります。

特に健康な歯を残したまま見た目を改善したい方や、短期間で結果を出したい方に適した治療法といえるでしょう。ただし、歯の状態や噛み合わせによっては適応できない場合もあるため、まずは歯科医師との相談が重要です。

2025年現在、AI技術や3Dプリント技術の進化により、より精密で個々に最適化された治療が可能になって行くかもしれません。素材の進化も著しく、患者のニーズに合わせた選択肢が広がっています。

美しい笑顔は自信につながります。削らないラミネートベニアで、健康な歯を守りながら理想の笑顔を手に入れてみませんか?詳しい情報や個別のご相談は、5DENTAL TOKYO GINZAまでお気軽にお問い合わせください。

著者情報

歯科医師・博士(歯学)  阿部 洋太郎

略歴

日本大学松戸歯学部を卒業後、歯科保存学入局
千葉県の歯科医院、都内の歯科医院にて勤務
松島歯科・新橋インプラントオフィスにて副院長およびインプラントオフィス所長を兼務
日本大学大学院松戸歯学研究科を卒業(インプラントと口腔粘膜病変の研究、コラーゲンとエラスチンの研究、カンジダと癌の研究)

所属学会・認定資格

日本口腔インプラント学会インプラント認証医
International Society of Oral Implantology 国際口腔インプラント学会認定医
日本歯科放射線学会
歯科エックス線優良医
日本顕微鏡歯科学会
日本歯科審美学会
日本大学松戸歯学部口腔病理学非常勤講師(口腔外科疾患と顕微鏡診断の指導)
厚生労働省指定臨床研修医指導資格
マウスピース矯正 Smile TRU認定
マウスピース矯正 インビザラインGO認定 “invisalign go 100”